『世界のうたとあそぼう!』
in「第22回あやせ国際フェスティバル」

取材・文 : 編集部
写真 : 大野隆介

日本人もベトナム人も、スリランカ人もブラジル人も、大人も子どもも。2024年2月に開催された「あやせ国際フェスティバル」は、綾瀬市で暮らす人たちの生き生きとした表情が、会場のそこかしこに広がった1日でした。22回目の開催となった同フェスティバルは、市民のスピーチや、舞台でのパフォーマンス、そしてワールドフード&バザールコーナーなど、様々なイベントが楽しめる市民手づくりのお祭りです。今年はこのなかで、神奈川県の共生共創事業の一つ「神奈川県あそび歌プロジェクト(以下、あそび歌プロジェクト)」の体験コンサートも開かれました。

約5000人の外国人市民が暮らす綾瀬市は、神奈川県のなかでも総人口における外国人比率が第3位の自治体です。元々ベトナム人、ブラジル人が多かったエリアですが、この数年でムスリムのスリランカ人のコミュニティーが増えました。そこで2年前から綾瀬市と「あそび歌プロジェクト」が協働し、スリランカのあそび歌に取り組むことに。スリランカ人へのインタビューなどを経てたどりついたのは、スリランカのお料理・ココナッツカレーのつくり方をテーマにしたあそび歌でした。パンの小麦(ピティ)をふるいにかけて粉にしたり、ココナッツを削ったり、といった身振りや歌詞がアクセントになった「ピティコタコタ」が完成。フェスティバルの会場でお披露目されたのです。会場を訪れた小学4年生は「多文化を学ぶため、タブレットでいろんな国のお料理教室を調べたことがあります」と話してくれました。「食」は最強の共通言語かもしれません。

このパフォーマンスの特徴は、子どもたちが舞台に上がって一緒に遊ぶシーンがあるところ。この日、舞台に上がった4歳の子どものお母さんは「劇場では普通は席を立てないし、まして舞台に上がることはない。こういった経験はとてもありがたいです」と話しました。プロジェクトスタッフの杉原悠太さんはパフォーマンスの狙いについて「多文化社会に触れる足がかりになるプロジェクトではありますが、まずは、『楽しい』と感じてもらうことを目指して、みんなでアイデアを出し合いながら舞台をつくりました」と語ります。綾瀬市で暮らす人たちが、一緒に踊ったり歌ったりしながら楽しんでいる様子が、会場を流れる空気から伝わってきた体験コンサートでした。

各国の食べ物や雑貨販売でにぎわうワールドフード&バザールコーナー
席を立ち、舞台近くで出演者と一緒に踊る子どもたち
ベトナム出身のトルオン・ティ・トゥイ・チャンさんによるスピーチの様子

「第22回あやせ国際フェスティバル」


会場 | 綾瀬市オーエンス文化会館・綾瀬市立中央公民館全館
日程 | 2024年2月17日
主催 | 綾瀬市/あやせ国際フェスティバル実行委員会


● 神奈川県あそび歌プロジェクト『世界のうたとあそぼう!』●

神奈川県には、外国にルーツのある方々が多く暮らしています。「ともに生きる ともに創る」を目標とする共生共創事業では、世界の国の文化に歌や踊りで遊びながら触れるあそび歌プロジェクトに、2020年から取り組んでいます。振付家、音楽家といったアーティストを中心に、世界の「あそび歌」をリサーチし、日本で暮らす子どもたちが誰でも楽しめるように歌詞や振り付けをアレンジ。体験型のコンサートやWEBサイトのレクチャー映像、デジタルリーフレットなどで発表しています。


● 「あやせ国際フェスティバル」 ●

2024年は「見つけよう ! 新たに広がる世界観」をテーマに実施。大ホールではスリランカの子どもたちによる合唱や、ヒップホップダンス、民族舞踊などを上演。小ホールでは、ベトナム人女性による難民体験を通した半生と平和への思いを込めたスピーチなどの催しも。子どもの遊びを用意した体験コーナーは、にぎわいを見せました。

公式サイト


スリランカのキッチンで、お母さんがカレーをつくる様子を子どもたちが真似をするあそび歌「ピティコタコタ」
中央公民館では子どもたちのための体験コーナーも
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