県民とともに歩み、
世代を超えて愛されてきた県民ホールが、
2025年3月末をもって休館します。
ジャンルも時代も、プロアマも問わず、
あらゆる芸術文化に触れられるこの場所で、
あなたはどんなシーンに出会いましたか?
2025年に50周年を迎える県民ホールは、1975年1月17日、横浜港を望む山下公園通りに開館しました。
充実した舞台機構を備える約2500席の大ホールと、公立ホール初のパイプオルガンをもつ小ホール、吹き抜けが特徴的な展示室をはじめとした広大なギャラリーを擁する県民ホール。ホールでは国内外の舞踊や音楽、オペラなどの舞台芸術、そしてポップミュージックや子どもを対象とした公演などがあり、ギャラリーは現代作家の展示だけでなく、県民の発表の場としても幅広く親しまれています。
1994年に神奈川芸術文化財団による運営に移行してからは、新しいオペラの制作やコンテンポラリーダンスの招へい、ジャンルを越境した複合的な演出表現の追求など、新たな創造の場としても愛されてきました。
また2011年からは、子どもも大人も気軽に劇場体験ができる「オープンシアター」が毎年開催され、より多くの観客に開かれていきました。
そんな多彩な芸術表現を育んできた県民ホールですが、老朽化により2025年3月31日をもって休館します。
今回の特集では、県内の文化芸術を長年見てきた神奈川新聞社 元文化部長の丸山孝さんや県民ホール・現オルガン・アドバイザーの中田恵子さん、ギャラリーの初代学芸員である藤嶋俊會さんとともに、各会場の県民ホール主催プログラムを中心とした動きをふりかえります。
また、神奈川県のポップスシーンにおいても重要な場所だった県民ホールが、県民やアーティストにとってどのような存在だったのか、ラジオDJの栗原治久さんに語っていただきました。
「INTERVIEW」には、2019年にギャラリーで個展を開いた美術作家・舞台演出家のやなぎみわさんと、50周年記念オペラシリーズVol.1で演出を手がけたダンサー・振付家の平原慎太郎さんが登場。県民ホールでの制作や、今後の関心についてお話しいただきました。
さらに、県民ホールとゆかりの深いアーティストや団体の皆さまからメッセージをお寄せいただきました。
プログラムの企画者、県内のメディア、アーティスト、地域団体など、複数の視点から、県民ホールがつないできた50年の歩みをお届けします。
施設内写真 : 青柳 聡
屋外写真 : 大野隆介