3.KAAT神奈川芸術劇場「KAATフレンドシッププログラム」

広場としての文化施設とは?

本コーナーでは、当財団が運営する文化施設(県民ホール・KAAT・音楽堂)の主催公演をケーススタディとして、広場としての文化施設について考えます。また神奈川県が主催し、当財団が企画製作を担う「共生共創事業」、さらには紅葉ケ丘エリアを中心とした文化施設同士が連携する取り組み「横浜・紅葉ケ丘まいらん」の事例もあわせてご紹介します。



CASE STUDY 3

KAAT 神奈川芸術劇場

様々な企画で地域に「劇場をひらく」ことを試みてきたKAAT。今年度は「KAATフレンドシッププログラム」と銘打った枠組みで、朗読と絵画を組み合わせた展示やアニメーション上映、バックステージツアーを行いました。



「KAATフレンドシッププログラム」


  • 朗読『風の琴』 : 2021年11月24日~12月6日
  • みんなのKAAT バックステージツアー : 2021年10月以降毎月1回実施中
  • タイ語アニメーション『hesheit』 : 2021年12月17日、18日
    ※[鑑賞サポート]アクセシビリティ : タイ語音声+手話動画+バリアフリー日本語字幕

会場 | KAAT神奈川芸術劇場アトリウムほか
主催 | KAAT神奈川芸術劇場、(公財)神奈川芸術文化財団(社会連携ポータル課)
公式サイト

公演のある日は、それを心待ちにする人や鑑賞直後の興奮で胸いっぱいな人が集うKAATのアトリウム。外からも見渡すことのできるこの広い空間を主な会場として、公演に来るお客様だけでなくもっと多くの人に劇場をひらきたい、より地域に愛される劇場になりたい、そんな思いで企画・開催しているのが「KAATフレンドシッププログラム」です。

KAATでは以前から、前芸術監督の白井晃氏がゆかりのある音楽家をゲストに迎えてトークや演奏をお届けする「SHIRAI’s CAFE」や、現代美術家とのコラボレーションをアトリウムで行ってきました。新芸術監督の長塚圭史就任(2021年4月)以降は、県民参加公演『虹む街』のガラス越しの稽古場公開や月に一度のバックステージツアー(1日2回)など、さらに柔軟にKAATのいろいろな場所や機能の活用に取り組んでいます。

米軍基地を一般開放する「フレンドシップデー」からヒントをもらったプログラムのネーミングを正式に冠した第一弾企画は朗読『風の琴』(11月24日〜12月6日)。アトリウムの各所に展示された4枚の絵画をふらりと自由に鑑賞しながら楽しめる朗読劇を実施しました。

朗読作品は、辻邦生著『風の琴 二十四の絵の物語』(1992年)のなかの4篇。絵のそばにあるQRコードをスマホで読み込むと、それぞれの作品からインスピレーションを受けて紡がれた物語の世界に二人の俳優がいざなってくれます。まさに劇場の奥で行われている公演の魅力を想像させるようなプログラムです。朗読の字幕動画や、指先で絵画の輪郭がたどれるよう凹凸がついた「触る絵」、点字パンフレットなどの鑑賞サポートは、今後もモニターからの意見を受けて改善しながら、このプログラムの枠で特に重点的に実施していきます。

12月17日、18日には、第二弾企画としてバンコク出身のマンガ家ウィスット・ポンニミットによるタイ語アニメーション作品『hesheit』を上映。2月1〜16日には横浜中華街と連動し、「KAATカナガワ・ツアー・プロジェクト」第一弾公演『冒険者たち〜JOURNEY TO THE WEST〜』に合わせて、西遊記をモチーフにした春節オブジェランタンを展示します。

次 ▶︎ 4.共生共創事業

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