2.神奈川県民ホール『オープンシアター2021』音楽・美術でめぐる世界の旅

広場としての文化施設とは?

本コーナーでは、当財団が運営する文化施設(県民ホール・KAAT・音楽堂)の主催公演をケーススタディとして、広場としての文化施設について考えます。また神奈川県が主催し、当財団が企画製作を担う「共生共創事業」、さらには紅葉ケ丘エリアを中心とした文化施設同士が連携する取り組み「横浜・紅葉ケ丘まいらん」の事例もあわせてご紹介します。



CASE STUDY 2

神奈川県民ホール

「すべての子どもと大人たち」に向けて劇場に足を運ぶ喜びを知ってほしいと、コンサートやバレエ、アート展など一日楽しめる企画として神奈川県民ホールが開催してきた「オープンシアター」。2年ぶりとなった今年度は、感染対策を施すなかで、屋外コンサートなど新しいプログラムも生まれました。



音楽・美術でめぐる世界の旅

『オープンシアター2021』


日程 | 2021年5月30日
会場 | 神奈川県民ホール全館
主催 | 神奈川県民ホール
公式サイト

2011年にスタートし、今年度で10周年を迎えたオープンシアター。劇場のなかをいろいろなかたちで見ていただこうと、施設内のあらゆる場所を使い、子どもも大人も楽しめるプログラムを展開する企画です。新型コロナの影響で2‌02‌0年度は中止となりましたが、今年度はその考え方やノウハウを継承しつつ、やり方を模索しながら実施しました。

プログラムの目玉はバリトン歌手の宮本益光さんが構成を手がけ、自身もソリストとして登場する『音楽でめぐる世界の旅 ガラコンサート』。オーケストラの名曲やオペラ・アリア、バレエの名場面を通して様々な国の音楽を紹介するプログラムです。管弦楽の演奏は神奈川フィルハーモニー管弦楽団。思いのほか子どもたちの反応がよく、「子どもたちがクラシック音楽にこんなに興味をもつと思わなかった」と保護者たちからは多くの反響がありました。

また、公演が始まる前の時間帯に開催された「ステージ見学会」では、舞台から客席を眺めてみる方が続々。「ふだんと違う景色を見る」ことが魅力の一つになったように、まだまだ掘り起こせるコンテンツが劇場にはたくさんあるかもしれません。

そのほか『音楽のおくりもの オルガンとカウンターテナーのハーモニー』、彫刻家の裕里さんによる“手や、目や、アタマが旅する展覧会”『手のたび—では いっておいで』、0歳からの『ミニミニコンサート』、バックステージツアーを実施。『ミニミニコンサート』は山下公園に面した広場で今回初めて行った屋外の無料コンサートで、アンサンブルの音を聞いてふらっと立ち寄ってくれた人もいました。

主催公演では基本的に託児サービスを提供しており、さらにオープンシアターでは舞台上での手話通訳や、英語・韓国語・中国語の通訳による問い合わせ対応にも取り組んでいます。どうやって伝えるべき人に情報を伝えるのかということが今後の大きな課題です。

来年度のオープンシアターは夏頃開催。展示では、障がいの垣根を越えて、多様なアーティストの創作活動をサポートする予定です。

次 ▶︎ 3.KAAT神奈川芸術劇場「KAATフレンドシッププログラム」

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